平沼赳夫
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父のこと

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 父、平沼恭四郎は明治四十一年一月十六日、中川友次郎、貞以夫妻の四男として生まれた。

 私から言えば祖父にあたる友次郎は金沢の人で、帝国大学法学部を卒業、内務省に入り、群馬県知事、特許庁長官等を歴任した役人であった。内務官僚としては、もっと先があった様であるが、出身の加賀の前田侯に請われて、将来を断念、前田家の財政をあずかる大番頭として余生を前田家に捧げた人であった。

 祖父は昔の人であったが故に、殿様から直に三顧の礼で要請され、断れなかったのであろう。学者肌の人で、頭が大変良く、これは父に聞いた話だが、父の長兄の博士論文の手助けが出来る実力を晩年まで持っていたそうな。端正な彫りの深い顔立ちで寡黙なたちであった。

 祖母の貞以(てい)は個性の強い華やかな人柄で、大層美人であった。やはり加賀の出身で、裕福な家に育ち、派手な人であったようだ。

 これは母から聞いた話だが、着飾って嫁どもを引連れて歌舞伎見物に行くのが大好きで、それはそれは目立ったらしい。

 父の育った家庭は男ばかりの五人兄弟、経済的にも恵まれて居り、比較的のんびりと苦労を味わうことなく順調な幼年期、少年期、青年期を過ごした様だ。ただ男ばかりの五人兄弟、家庭に於ける生存競争は相当のものであったらしく、父は死ぬまで、食事をガツガツ食べる癖があり、母に生前よくこのことをからかわれていた。これも今となっては私にとっての懐かしい想い出となってしまった。

 父はどちらかというと呑気な性質で、余り勉強をしなかったと自分で言っていた。兄弟で勉強をした長男と三男は夫々、経済学、物理学の博士となり、大学の教授として活躍をした。父にいわせると五男が一番頭が良く、一家中から期待をされていたが、帝大在学中結核のために惜しいことに世を去り、父は良くこのことを残念がっていた。

 この叔父は残っている写真を見ても父とうり二つで父としてはひとしお可愛かったのではあるまいか。

 父は私立の開成中学から慶應義塾の予科へ進み、昭和六年、慶応の理財科を卒業。どういう経緯か詳らかではないが、農林中央金庫に就職をし、札幌支店へ勤務、北海道で社会人としてのスタートをきったのであった。

 この北海道時代、父は独身を思う存分謳歌したらしく、当時の父が、父の母宛へ借金を申し込んだ葉書と送金をした母に対する礼状が残って居り、その文面がいかにも父らしく何ともほほえましい限りである。

 若い頃の父は、その時分の写真を見ても、俗に言うハンサムボーイで、おまけに慶応ボーイ。もてぬはずはなく、充実した青春を送ったようだ。父は終生、酒を愛した人であったが、酒を本格的におぼえたのも、この北海道時代らしく、私に、「北海道では浴びるほど飲んだよ」と良くいっていたものだ。

 昭和六年から十一年にかけて、父はのびのびと独身生活を過ごしたに違いない。父の育った中川家はハイカラな家で、今でいう八ミリビデオ(当時は九ミリ半のフィルム)で記録が撮ってあり、それを見ると、ソフトを伊達にかぶった父が、実にくったくなく、浅草の雷門や銀座通りや自宅の雪の庭などで楽しそうにふる舞っているのが写っていて、その時代の父の様子が手に取る様に判り実に面白い。

 昭和十一年に、父は母、節子と結婚した。媒酌人は終戦直後の枢密院議長であった清水澄博士夫妻であった。

 父と母は、私と姉に「見合いだ見合いだ」と死ぬまで言っていたが、親戚筋からの情報で、二人は同じ歯医者に通っていて、知り合ったらしく、生前、二人に問いつめると、二人共困った様に否定し、その態度から、これはほぼ間違いないと確信をしたが、真相は明らかでない。結婚は、父中川恭四郎に母飯田節子が嫁にいくという形で行われた。

 母、節子は総理大臣をした、平沼騏一郎の兄である元早稲田大学の学長平沼淑(よし)郎の孫娘に当り、子供のなかった騏一郎が実の孫の様に母のことを可愛がり、娘時代を騏一郎の家で過ごし、騏一郎の一番のお気に入りであった。その様な関係で、私が生まれるとそれを機に一家養子の形で父は姓を中川から平沼に変えたのである。

 母の母、廣(ひろ)女は平沼淑郎のたった独りの娘で、長州藩士の出の飯田包亮(かねすけ)に嫁ぎ、二女を生み、その末娘が母であった。飯田の祖父は海軍兵学校を卒業、日本海々戦では駆逐艦に乗って戦った軍人で、火薬の専門家でもあった。祖父は昭和二十五年に亡くなったが、私の記憶ではいかにも軍人らしく髭をたくわえ、口数の少ない重厚な人であった。

 父と母は出会い、時代も時代であったが、これから後波乱の多い後半生を送ることになる。

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