新年の御挨拶
平成二十四年 新年ご挨拶
『保守の使命と覚悟』
<たちあがれ日本 代表>
衆議院議員 平沼 赳夫
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

東日本大震災、台風十二号・十五号による犠牲者の御霊のご冥福を心よりお祈り申し上げますと共に、今なお多大なご労苦や不自由な生活を余儀なくされている被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。

一日も早い生活の安定と再建に、私どもも出来うる限りの努力を続けて参ります。未来への希望と勇気を喪われることなく雄々しく立ち上がられますことを固く信じ、全ての日本人が手を携え、被災地復興に向けて共に歩ませていただきたいと存じます。

■思い切った良質の公共投資で景気回復を

 大震災の影響、部品類の供給停止による減産や原発事故に端を発した強制節電、加えて止まらぬ円高やタイ大洪水の影響など、経済に大きな影を落としています。

震災復興のための増税など本末転倒です。今は最優先で日本の経済を活性化させることに全力を傾注し、雇用を確保し、国民生活を安定させることを第一に取り組むべきです。そのことが被災地の復興支援に必ずつながります。

岩手県に普代村という小さな村があります。貞観大地震、明治二十九年、昭和八年に発生した大津波で多数の犠牲者が出た村です。和村さんという十期、四十年勤めた村長が、県にかけ合い、国に話しをして一生懸命、高さ十五メートルの防潮堤と水門を建設しました。村民からは猛反発が出たそうです。

しかし和村村長は幾多の反対を押し切って、貞観大地震クラスの大地震・大津波に備え「村と村民の生命財産を守る」という信念を変えずに大堤防と水門を建設され、大震災の前に八十有余歳で他界をされました。平成二十三年三月十一日、大津波が普代村に押寄せましたが、和村村長の大堤防は十四メートの津波を見事に防ぎ、行方不明者一名のみで死者負傷者ゼロ、三千人の村民の命が助かり、浸水も皆無でした。

目先の利益ではなく未来の危機に備えるという信念を通した政治家の見事さを立証しました。村民の人々は今、感謝の気持ちで和村村長のお墓参りをしているそうです。将来へ備えを固め、地方の中小企業が活気づくためにも、今こそ思い切った財政出動をおこない、「コンクリートから人へ」ではなく、「人の命と生活を守るコンクリート」推進に取り組むべきだと考えています。

良質な公共投資を推進し景気全体を浮揚させて所得水準を回復した後、増大する社会保障費や財政再建の問題に、真正面から取り組めばよいのです。



■民主党に欠けている「国民と国土を守る断固とした意志と覚悟」

 野田首相の所信表明の中に、「尖閣諸島」の言葉はありませんでした。

野田内閣の一川保夫防衛相は就任直後、「安全保障は素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と発言しました。きわめて問題のある発言です。厳しい国際情勢の中で、自国の主権・領土と国民の安全を護る国防・安全保障体制の確立には、一国の存亡がかかっています。政権の座にある者はその責任に応える義務があります。

昭和二〇年九月ニ日、米国戦艦ミズーリ号甲板上において日本と連合国の間でいわゆる降伏文書(停戦協定)の調印が行われました。本年は昭和二十七年四月二十八日にわが国が独立を回復から六〇周年を迎えます。しかし現在もなお占領政策の影響を受け独立国家としてふさわしい国家体制を未だ再構築できていません。

特に北方領土や竹島など領土問題は深刻です。一昨年九月七日の尖閣事件が勃発しました。中国政府は一九七〇年代に地下資源埋蔵の可能性が判明した途端に沖縄県石垣市・尖閣諸島の領有権を主張し始めました。現在も支配海域を広げる戦略を展開しています。

わが国を取り巻くこれらの危機的状況に対し、具体的な行動をおこそうとしない日本国政府の対応は、わが国の主権と国益を大いに損なっています。領土侵略や拉致、他国に国民の生命財産を奪われ主権を侵害されている状態のどこが「平和」なのか。自国民の生命財産、主権や領土を守ることが出来ない「平和憲法」など百害あって一利なし、到底まともな独立国の憲法ではありません。

日本の正当な領土回復の主張をはじめ、自らの国益と国民の生命財産を守ることを妨げる最大の障害が、日本国憲法そのものに起因しているのならば、何よりも勇気をもってこれを改めなければなりません。



■拉致被害者とご家族、日本国民への背信行為

 私は拉致議連の会長として、家族会や救う会の皆様と御一緒に、昨年米国ワシントンを訪問し、米国議会の要人に直接拉致問題についての協力を要請して参りました。昨年末に北朝鮮の金成日総書記が死去しました。拉致問題に譲歩はありません。あらゆるチャンネルを通じて圧力を懸け続け、一歩も引かない気概が必要です。

覚えておられるでしょうか?菅前首相をはじめとする多くの民主党議員から拉致事件容疑者親族の関係政治団体側へ一億五千万円を超える巨額献金、さらに民主党の外交・安全保障調査会北朝鮮分科会において「北朝鮮への経済制裁の効果は限定的」と対北朝鮮制裁を解除する方針ともとれる提言を行なうなど、民主党の北朝鮮への「配慮」は異常としか言えません。

加えて菅直人前首相が辞任寸前の八月二十九日、昨年十一月の北朝鮮による韓国砲撃を受け凍結していた朝鮮学校に対する高校無償化適用の審査手続きを再開するよう高木義明文部科学相に指示し、文科省が適用に向けた手続きに入ったことは断じて許されることではなく、唐突で安易かつ不透明な決定は、政府・与党による日本国民への背信です。

これらの心無い振る舞いは、日本国民・拉致被害家族の拉致被害者救出の悲願と政治への信頼を踏みにじる裏切り行為にほかなりません。国会議員の資格はもとより、人権を口にする資格すらありません。



■かけがえのない祖国日本を護るために

 沖縄の普天間基地の問題は、亡くなられた橋本龍太郎元総理大臣が、実に十三年かけて、この問題のためだけに二十一回沖縄に通って、日本とアメリカと沖縄県の三者で慎重に調整して合意したものが、辺野古への移設計画でした。

それを鳩山由紀夫氏は、あっさりと反故にしてしまった。困難を乗り越えて長い時間をかけてようやくまとめた約束事、条約にも匹敵することを、いとも簡単にご破算にして「普天間基地は国外に移設、最悪でも沖縄県外」と無責任な口先だけの約束をした。沖縄県民はそれに騙され、期待し、飛びついてしまった。そして全部が駄目になった。

アメリカと日本の関係、沖縄と本土の関係、普天間や辺野古の人々の思い全てが無茶苦茶にされた。この日本と米国、本土と沖縄の間の亀裂、そこから派生してきたのが、昨年九月の尖閣諸島で起こった領海侵犯した中国漁船による巡視船への体当たり事件です。あろうことか九月二十四日、那覇地検は中国漁船の船長を、突然、処分保留のまま釈放しました。地検の判断だと政府は責任逃れをしているが、政府の政治判断と圧力があったことは間違いなく、この日は中国の恫喝への屈服の日であり、国辱の日です。

戦前の日本で外国人土地法という法律がつくられ、国防上必要な地区においては、政令によって外国人・外国法人の土地に関する権利の取得を禁止、または条件もしくは制限をつけることができました。対馬をはじめとする国境の島や重要な軍事施設のある地域では、そもそも外国人の土地取得が出来ませんでした。しかし、戦後、この政令がなくなったため、たとえ国防上重要な基地の隣であろうと、歯止めがありません。

外国でも、その国にとって重要な地域では、法律によって外国人の土地所有を禁止・制限することができます。それが日本にはない。これも法整備が必要です。日本の最西端・与那国島に、麻生内閣のとき自衛隊を配備すると決めました。民主党政権になったら「中国を刺激してはいけないから配備しない」ということになった。人口千六百人の国境最前線・与那国島は、現在ニ人の警官が拳銃二丁で「防衛」しているだけです。与那国町の糸数町議会議員など地元の皆様の熱意によってようやく自衛隊の配備が進められることになっていますが、最後まで目を離すことは出来ないと考えています。

海に囲まれた日本で、他国と国境を接する最前線となる辺境の島嶼部の防備というのは、本当にしっかりとしていかなければならない。日本の安全と平和を自らの力で担保するために、お金がかかっても実行しなければならないことがあると考えます。国防は最大の福祉そのものなのです。

挑発的行動を繰り返す国々は、わが国政府の対応や国民世論の反応を探っています。相手におもねり安易な譲歩を繰り返すことは、わが国が領土問題に無関心だという誤ったメッセージを発信することになり、相手の侮りを招き、更なる領土・主権侵害を招来しかねません。

日本を脅かす危機に「現実的に」対処できる法整備をすすめ、そして与野党に働きかけ、自らの手で領土・主権・国民の生命・財産、祖先が築いてくれた歴史・伝統・文化、日本人の名誉と尊厳を守る精神を高らかに謳い上げた、新しい憲法の制定を目指してまいりたいと存じます。



■沖縄祖国復帰四十年

 実は野田佳彦氏が総理大臣に選出されたとき、民主党内の候補者の中で一番よい人物が総理になったと喜び、保守政治家・野田佳彦氏に内心密かに期待するところがありました。しかしその後の菅内閣よりも反日色が強い内閣・党人事、以前「日本に戦犯はいない」と真っ当な正論を述べ、首相や閣僚の靖国参拝に何の問題もないと明言していた靖国参拝の不実行などの一連の言動は、信頼できる真の保守ではないことを露呈しました。

また所信表明演説の中で野田総理は、「日中国交回復四〇周年」について触れ、何らかの記念事業を行なうなど述べたにもかかわらず、長らく祖国を奪われていた沖縄の本土復帰四〇周年について一言の言及もないことに大きな失望を覚えました。

私は、昨年一〇月那覇で行なわれた「尖閣を守る沖縄県民大会」、石垣島で今年制定された「一月十四日尖閣諸島開拓の日」条例制定記念式典にも参加させていただきました。また今年、二月と一〇月には、かけはし塾の塾生と共に沖縄に研修で参り、書物や報道やネットを通じてではない、現地の皆様の生のお話を聞くことが出来ました。そこにはマスコミで流布されている「反米反日の島・沖縄」とは全く異なる姿がありました。

お会いした皆さんに共通していることは、「沖縄は日本以外の何物でもない。日本と沖縄を守りぬくために全てを賭ける」という強い決意と覚悟をお持ちであるということです。同時に現在の日本と沖縄が置かれている現状に、大変な危機感を持っておられます。本土復帰後に沖縄に入ってきた日教組の反日教育、左翼の長年にわたる反米反日運動により、反日日本人によって世論が捻じ曲げられていることもさることながら、本土の人々の沖縄に対する「無関心」こそが一番の敵であるとの危機感です。

那覇市内にある琉球の国一宮・波上宮の境内には、明治天皇の銅像が建立されています。お足元の台座には明治天皇の御筆による「国家」の二文字のレリーフと五箇条のご誓文が刻まれています。

かつて沖縄戦において、全国出身の帝国陸海軍兵士・軍属・軍関係者が沖縄で戦い、散華されました。兵士たちは波上宮に参拝してから、日本と沖縄を守るために沖縄各地の任地や島々に赴き、戦いに臨まれました。

波上宮の宮司は「国家を喪うということがどういうことか、喪ったものでなければその気持ちは分からない。沖縄は戦後『国』を喪った。そのことをどうか忘れないで欲しい」と申されました。沖縄は「国を奪われた経験を持つ日本人」なのです。

かつて沖縄県民の悲願であった「本土復帰」、日本に復帰した沖縄の人々の目に、「戦後日本」はどう映っていたのか。彼らが期待し、信頼していた日本の姿がそこに果たして存在していたのか、そのことが問われなければならないと思います。

沖縄では二〇万人の命が喪われました。まだ多くの御遺骨が島のあちらこちらに眠ったままです。沖縄は、戦没者の御霊と真正面から向き合い、感謝と慰霊の祈りを一日も欠かすことのない「祈りの島」「慰霊の島」なのだと思います。

戦後本土の日本人から欠落している最大の部分が、祖先や戦没者、英霊への敬意と感謝を捧げ、先人たちから託された「後を頼む、そのために我らは命をかける」という期待と信頼にお応えする覚悟と努力を忘れていることではないのでしょうか。

「日本国民」へ戻ることを熱望し、心から期待していた沖縄の人々の悲しみや、苦しみ、「国家」への期待や希望について、戦後日本があまりにも無知、無関心であり、沖縄の期待と大きく異なった日本と日本人への失望が本土と沖縄の間の溝となっているのではないかと考えます。

沖縄県民は決して不幸で哀れな被害者などではなく、日本人としての本分を尽し、心一つに国を守ろうとした、敬意を持って遇されるべき名誉と誇りある勇敢な同胞なのだと思います。

先人たちが命をかけて後世に託した沖縄を頼むという願い、多くの犠牲と苦労を重ねてきた沖縄の期待と信頼に応え、昭和天皇や今上陛下の御心を安んじ奉るためにも、沖縄に二度と「国家」を喪わせてはなりません。

沖縄を守り抜くことなくして、日本の未来はありません。保守を自任する全ての人々には、どうかこのことを忘れることなく、沖縄を守る戦いに積極的に参加してくださることを心から願っています。



■次の世代を守り育てる覚悟と責任

 日本を蝕む様々な呪縛から日本と日本人を解き放たねば、日本の未来はないという認識は、確実に国民の間に幅広く浸透しつつあると感じています。

今はインターネットの時代です。全国の若い諸君からご高齢の方まで老若男女の皆様から、「自分は政治には無関係・無関心だったけれども、このままの政治を放置していたら日本はとんでもないことになるんじゃないか、日本を何とかしたい」「日本を守って欲しい」という声が、私の元にも毎日たくさん寄せられて参ります。

頂戴いたしますメールには、民主党政権が震災復興そっちのけで推進しようとしている、人権侵害救済法案や外国人の地方参政権、外国からの移民促進、選択的夫婦別姓の早期実現、国籍選択制度の見直しなど様々な危険な国家解体法案や、稚拙で国益を損なうばかりの外交・安全保障政策に対しての真摯な懸念、日本の将来を憂う熱い思いが込められており、ご意見やご提言やさまざまな情報から勉強させていただくことも多く、大いに感謝いたしております。可能な限りひとつひとつ拝見させていただき、私自身がお返事を書かせていただくようにしています。

メールを拝見いたしまして強く感じられますのは、まさに内外ともに国難とも申すべき現在、国民の皆様は、保守を基盤とする政界再編を望んでおられるということです。

私たちは大変な危機感をもって、たちあがれ日本をつくりました。老人ばかりと揶揄されることもありますが、真に日本を愛し、誇りある豊かな日本再生にまさに生命をかけて取り組む、知識と経験と情熱溢れる逞しいベテランばかりだと自負いたしております。昨年の統一地方選挙では、私たちと、志と危機感を共有する多くの地方議員が誕生いたしました。全国に党支部も増え、支部長も精力的に活動を展開してくれています。

また我が党は「次の世代を守り育てる覚悟と責任」を果たすことを掲げています。その実現のために「次世代育成かけはし塾」を開設し塾生を募集しましたところ多くの応募をいただき、第一期生を前期と後期に分けて研修を実施しております。前期生からは、新潟県長岡市議会議員も誕生いたしました。二期生にも多くの申し込みがあり、大いに楽しみにしているところです。

昨年の二月と一〇月に私も沖縄へ研修に参りました。平均年齢約三十四歳、職業も出身地も年齢も性別も異なる若い世代の皆さんの、真摯に国を思い、未来を切開こうとする熱意に私をはじめ他の議員も大いに刺激を受け、活力となっています。自民党でも民主党でもみんなの党でもなく、たちあがれ日本を選択し、我々の思いを、危機感を、受け継ぐ決意を持って全国から馳せ参じてくれた若人たちです。彼らに、私たちの全ての知識・経験・人脈などの財産をしっかりと継承し、新しい保守の魂を、日本の誇りを取り戻し、真に日本人のための日本人の政治を実現することが、我々の使命のひとつです。

たった五名の少数政党ですが、日本の国益と、主権・領土・国民を守り、未来に向けて希望の灯火を掲げ続ける政界再編の起爆剤として捨石となる覚悟で戦っております。日本創新党や自民党保守派政策集団「創生日本」とも合同の研修会や定期的な交流も続けているところです。

今後様々な形で政界再編が現実のものとなると思われます。しかし打倒民主党なくして日本再生は在り得ませんが、民主党崩壊の後に形を変えた第二の民主党政権を誕生させるのでは意味がありません。まっとうな保守を基軸とした政界再編を実現するために引き続き全力を尽くして参ります。



衆議院議員 平沼 赳夫


平成二十四年 年頭揮毫
「神清智明」


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