梅梅
新年の御挨拶
 皆様方には平素より大変お世話になっておりますことに心より御礼を申し上げます。
昨年九月の第四四回総選挙におきまして、二五年間共に歩んできた自民党から非公認とされ、無所属の立場で大変厳しい選挙を戦うことになりました。私の信念からの行動でありましたが、皆様には本当にご心配とご迷惑をお掛けし、申し訳なく存じます。
大変苦しい戦いの中で、皆様方から本当に温かいご支援を賜り、九期目の当選を果たすことが出来ました。私の主張や政策をご支持いただいた約一〇万票の重さをしっかりと受けとめ、現在は無所属という立場ではありますが、今後も愛する祖国日本と郷土のために全力で取り組んで参る所存であります。総選挙後、一〇月十一日に行われた郵政民営化法案に関する投票で、私は再び青票(反対票)を投じました。党のしかるべき立場の人からも様々な説得を受けましたが、七月の国会に提出されたものと全く同じ法案内容であり、約一〇万人の有権者の方が私の主張に投票してくださって当選をさせていただいた議員として、自分の信念や主張に反して賛成票を投ずることは到底出来ませんでした。信念を曲げてまで賛成票を投じることは、政治家・平沼赳夫の死を意味します。節を折っては、自分自身の人生としても納得がいきません。
自民党は今年結党五〇年。私はその半分の二五年間、自民党所属の代議士を務めてきました。党がスキャンダルで下野し危機に瀕したときでも、全国組織委員長として、お詫び行脚をし、党の立て直しに尽くしてきました。しかし、そういうことは一切考慮せず、郵政民営化法案に反対したことに対して、一方的に非公認として処分する。二十五年間以上党員として活動し、貢献してきた自負もあるだけに、決して納得できるものではなく誠に残念ではありましたが、一〇月三一日に党本部に離党届を提出致しました。政界一寸先は闇です。今後どのような展開になるのか全く予測できません。ただ現在のような異常な状況が未来永劫続くとは考えられません。また何でも「改革」すればよいというものではありません。変えなければいけない点を見極めると同時に、「変えてはいけないもの」「護るべきもの」は断固護り抜くことが重要です。
とりわけ日本の歴史・伝統・文化の中心である天皇制・皇室・皇統にかかわる事柄について、平成の御世での破壊に繋がりかねない皇室典範の改変などを、拙速に軽々しく行うべきではないと考えます。現在の皇室には、今上陛下がおられ、皇位継承第一位の皇太子殿下は四五歳、第二位の秋篠宮殿下は四〇歳とまだまだお若く、確かにその後には内親王しか居られないとは申しながら、今日明日に結論を出さねばならないような緊急事態ではありません。ましてや天皇家代々のしきたり、遺訓(いくん)とも申すべき皇室典範の内容について、当事者であらせられる天皇陛下や皇族方に一切お諮(はか)りすることもせず、女系容認・第一子継承という結論を小泉総理の「私的」諮問(しもん)機関が僅(わず)か三〇時間余りの議論で答申し、小泉総理・政府は平成十八年の通常国会において「改変」法案成立を期(き)していることは、余りにも拙速(せっそく)であると言わざるを得ません。
 日本は、万世一系の皇室をいただいている世界で類を見ない悠久の歴史と伝統を有する立憲君主国です。それゆえに海外でも日本の皇室は心から尊敬されています。世界に現在約二百国ある独立国のうち、イギリス、オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、ブータン、カンボジア、タイなど約三〇の国が君主国ですが、その中で最も古い歴史を持ち、最も人口が多い国が我が日本です。他国の王室・王朝では、革命や紛争、婚姻によって「王統・血統の交代」があります。一二五代、二千年以上同じ血統を護持し続けている君主国は、日本以外にはどこにも存在しません。まさに「空前絶後」なのです。我が国が世界から羨望され敬意を払われているのは、経済力でも技術力でも、ましてや政府の力などではなく、世界で最も古い家系の万世一系の天皇陛下を戴いている国であるからです。そしてそれを連綿と護り続けている国柄であり国民であるからです。これは堂々と胸を張って誇るべきことであると存じます。
皇統の男系継承とは「男性天皇が血統の出発点であること」を意味し、女系継承とは「女性から始まる継承」をいいます。女性天皇の配偶者が男系皇族でないかぎり、その御子が天皇になられると「女系継承」が始まります。その時点で二千年以上続いた天皇家の皇統は途絶え、御子の父君を始祖とする新たな血統による皇位継承が始まることになります。「万世一系」というと本家の血筋が永遠に続くことと誤解する人がおられますが、それでは「真の一系」にはなりません。時には分家からも継承者が現れ、あらゆる可能性を模索して男系で継承が維持されていくことが「万世一系」の本質的意味だと思います。過去にも八方十代の女性天皇がおられましたが、皆様「男系」への橋渡しとしてのお役目をしっかり果たされておられます。これこそが皇室の伝統であり、しきたりです。
ただ現代の感覚や風潮だけで、たかだかこの数年の価値基準を当てはめることは、まさに先人の叡智(えいち)の否定、歴史伝統の破壊にも等しいことだと思われてなりません。権力者や世相の移り変わりなど歴史の流れの中で、現れては消えてゆく泡沫(うたかた)のようなもの、ほんの一瞬の栄枯(えいこ)盛衰(せいすい)に過ぎません。かつての織田信長や徳川家康だって、彼らの権力や武力をもってすれば天皇家を一捻(ひとひね)りにできたでしょう。そうしなかったのはなぜなのか、我が国の歴史と先人たちの努力と叡智に思いをいたすべきではないでしょうか。伝統やしきたりは時流や世相や世論によって左右されるべきものではありません。
人類の歴史の中で一番困難で大変なことは「伝統を護り、次代へ継承する」ことです。一度絶たれた伝統や血統は、二度と元に戻すことは出来ません。伝統は「伝統」であるが故に尊く、そのまま次代へ受け継いでゆくことが「伝統」の意味です。どんな世相や権力の移り変わりの中にあっても、それを護り続けてきた日本であり日本人だからこそ、日本の皇室が世界から「奇跡」と呼ばれ、心からの敬意を持って遇されているのです。
 一二五代の天皇が連綿と繋いできた万世一系の歴史こそまさに『世界の至宝』だと私は思っています。女系継承容認・長子相続優先などを「制度化」して拙速に結論を皇室に押し付けることは、私たちの時代で我が国の誇りある歴史の流れを断ち切ることに繋がります。ときの政府などが軽々しく決めてよいことではなく、後世のためにも断じて認めるわけには参りません。天皇陛下や皇族方のご意向も伺いながら時間を掛けて皇統維持の最善策を検討すべきだと思います。
そのほかにも小泉総理が早期成立を示唆している「人権擁護(ようご)法案」には極めて問題があると考えています。この法案は令状なしでの立ち入り捜索や押収などの強力な調査権を人権擁護委員に与えており、委員の「国籍条項」もありません。人権侵害の定義があいまいであり、拡大解釈が可能で歯止めがありません。一方でメディア規制もあり、国民生活や言論・表現の自由に根底から影響を与えかねない危険性を持っており、私はこれからも警鐘を乱打し、反対して参ります。
 超党派の北朝鮮拉致救出議連の会長を引き続き務めさせていただくことになりました。政府が制裁の発動を予告して平成十七年十二月二四日で満一年を迎えました。しかし北朝鮮は誠意ある対応をしていないにも関わらず、制裁は発動されていません。遺骨・死亡診断書までも捏造(ねつぞう)した金正日政権に対し、制裁の発動で日本の国家意志を示さなければ、「無視は黙認と思われてしまう」(横田滋氏)のです。一刻も早く現在もなお北朝鮮に拉致されている多くの未帰還者とその家族を救出しなければなりません。話し合いだけで北朝鮮から日本人を救出することは困難です。日本政府は国交正常化優先ではなく、今こそ経済制裁という圧力を用いて拉致解決を迫るべきです。一刻も早い拉致問題解決のため、北朝鮮に対する経済制裁の発動などを、同志と共に強く求めて参りたいと考えています。
現在の「保守」は間違った方向に来ていて、真っ当な保守を再生することが今の我が国には必要なことだと考えています。そのことを視野に入れて、色々な連携、連帯を考えながら、今後行動して参ります。それは茨(いばら)の道かもしれませんけれども、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)、頑張り抜くつもりです。
私は地元の皆様方に育てていただいた、地元の政治家です。その皆様方のご期待を裏切らないように、これからもあくまでも筋を貫く国会議員として、日本国と郷土岡山のお役に立って参りたいと思っております。
これから本当にご迷惑とご心配をおかけすることに相成(あいな)ると思いますけれども、どうか引き続き平沼赳夫にご叱正とご鞭撻、そしてご支援を心からお願いを申し上げます。

平成18年(2006) 初春
衆議院議員 平沼 赳夫

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